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2016.05.22 SUN - 読書ブログ

タイプ別毒親との向き合い方 『困った母親たち』スーザンコーエン、エドワートコーエン著を読んで


image記事を読んでいただきありがとうございます。一月万冊の大下周平です。今回取り上げるのは『困った母親たち』という本です。この本は母親のタイプ別の傾向とその対策について一つ一つ書かれています。娘を束縛する母親、娘を自慢したい母親、過保護な母親、娘の全てを詮索する母親、完璧主義の母親、現実から目を背ける母親、娘と張り合う母親、娘に罪悪感を抱かせる母親と8章に分けて解説しています。

どのタイプの毒親か?

毒親と言ってもいろんなタイプがあります。私の知っている人は娘に罪悪感を抱かせる母親であり、娘を束縛する母親でした。私の体験からいうと過保護な母親が一番近いと思います。この本の中にもありましたが、私はほとんどというか全く家事をすることがありませんでした。掃除から食事から洗濯に至るまで一人暮らしをするまで一切したことがありませんでしたし、自分がそういった家事をするということ自体しないことが当然でした。母親は自信が小学校3年生の頃に家事手伝いをすることを強要され、その苦い経験から自分の子供には絶対同じ思いはさせないと誓ったと言っていました。その結果大人になっても家事一つまともにできない、自分の部屋でさえ掃除をほとんどしない大きな子供が出来上がってしまいました。

どれぐらいのものかというと、耳掃除は母親の趣味ということで一度も自分でしたことがなかったですし、ご飯の準備はもちろんのこと、ご飯をよそう、魚の骨を取る、パンにバターを塗るところまで全部自分でしないのです。やってもらうにしてもおかわりというわけでもなく、茶碗を差し出すだけです。それが一人の社会人として実家を離れて生活したらどんなことになるのかは目に見えています。家事の大変さもようやくわかりましたし、でも誰か家事をしてくれる人がいるとその人に依存して自分では何も動かないのです。当然相手は何もしない私に対して不満を募らせていきます。当の私はそれが当たり前なので不満を持っていることさえ気づかないまま、生活をともにして行くことになります。その結果どこかで相手の不満が爆発し、それを言われた時は嫌々やるようになるのですが、根本が変わるわけではないのでまたやらなくなり、結局同じことの繰り返しで、最終的に我慢できなくなり別れてしまいます。当時は対話が足りないせいだとか見当違いのことを思っていましたが、結局のところ何もできないように育てられ、相手のことを気遣うのではなく自分が満たされることしか考えていなかったことが原因でした。

image毒親への対処法

毒親と一緒に住んでいる場合干渉されやすいため一番良い対応策は家を出ることになると思います。私も実家に住み続けていたら考え方が変わることなく、今でも精神的には子供のままだったと思います。下手するとそんな子供のままにもかかわらず、結婚し、家庭を持っていたかもしれません。恐ろしい話です。正直な話、子供のままなのであれば家庭を築かない方が良いでしょう。私のような子供が生まれ、似たような家庭環境が繰り返されていくだけだと思います。社会に出るからには子供ではなく一人の大人として責任ある行動をとる必要がありますし、それが至極当然の話です。

同じ家にいる場合は、まずは自分だけのスペースを確保しましょう。自分の部屋に鍵をかけプライベートなエリアを確立するのです。私の実家では扉は襖であり、厳密なプライベート空間はありませんでした。親がいつきてがらっと開けるかわからない、そんなリスクを抱えた状態の自分の部屋でした。大学生の頃に朝私を起こそうとして部屋に入るだけではなく布団の中にまで入ってくることもある母親は、どう考えてもやりすぎというか過干渉でした。私が自分で部屋の掃除をしないので、母親が勝手に掃除をした時にどこにエロ本があるかも把握されていましたし、本棚に並べられていたこともありました。そこにはプライベートなんてものはなく、直接口頭で干渉するわけではないにせよ、全てを把握されていると言っても過言ではない状態だったのです。

こんな状態では親と正しく付き合っていくことは難しいですし、親の考え方から抜け出すことも、親の考え方が自分の家の中だけの偏った考え方であることにも気づけません。私は幸いにも大学卒業と同時に上京したため、実家から離れることができました。そのおかげで自分の家や親の教育がいかに偏っていたのかが、少しずつわかってくるようになりました。だからこそ、自分だけの空間を確保することはまず絶対にしてほしいと思います。

image毒親との向き合い方

毒親の影響下にある時は毒親の言うことは絶対であり逆らってはいけないと思ってしまいがちです。そして毒親の言うことは常に正しく、それに従っていくことがいいことなんだと勘違いしています。毒親との向き合い方で最も重要な気づきは、毒親も普通の人であると認識することです。常に正しいわけでもないどころか、結構間違ったことを言ったりしたりしていることもありますし、教育の仕方そのものがおかしいときだってあります。子供側がまずそれを認識することは、親と正常な関係に変えて行くためには必要不可欠なステップです。親のことを過大評価せず、間違いも犯すことがある普通の人なんだと考えてみると、見えてくる世界やこれまでとらわれていた考え方が、突然がらっと変わってきます。

自分の親も普通の人だと理解できたところで、次は昔のことはさておき、未来に意識を向けましょう。私ももっと育て方を変えていてくれればもっと違った人生になっていたと思うこともありました。でもそれはどれだけ考えても、仮に親に直接文句を言ったとしても無意味なことですし、時間の無駄です。それよりもこれからどうやって生きていくのか、親の呪縛から解き放たれ、ようやく本当の自分の人生を歩めるようになったのだから、自分自身の未来にこそフォーカスを当ててほしいと思います。

image自分の未来にフォーカスを

自分の未来から考えてみれば、一般的には親が先に亡くなりますし、親がいなくなった後の人生もそれこそ何十年とあるのですから、親のことに執着していても時間がもったいないだけです。そもそも半世紀近く今の人格を継続してきた親の考え方はほぼ変わることはありません。であれば変わらない前提で、親との関係を考えて理解されたいというよりも、自分が負担に感じない程度の距離感で付き合っていけば十分ではないでしょうか?自分の未来、そして家庭があるのであればパートナーや子供のことについてどうするのかに時間を使ったほうがよっぽどいいと思います。

最後にこの本を読んでいてとても救われた部分を抜粋したいと思います。
「もし 、あなたに幼い娘や十代の娘がいるのなら 、自分こそ 〝娘を苦しめる母親 〟になっているのではないかと 、ちょっと心配されているかもしれない 。しかし 、自立と自由を手に入れるためにこれまで悪戦苦闘してきて 、そのことをきちんと自覚している人は 、間違いなく賢く愛情豊かな母親になれるはずだ 。」
これは母親になった人に向けての言葉ではありますが、親にならなくともこれまでの毒親の呪縛から抜け出して、賢く愛情豊かな人になれるということを示している言葉であると思います。今からでも抜け出せますし、抜け出すことができればもっと自分の人生を豊かで幸せなものに変えていけると思います。読書を通じて呪縛から抜け出せる人が一人でも多く増えることを心から願っています。
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大下 周平

一月万冊の清水と大学時代からの友人。ゲームが好き。清水にはじめて『こいつには絶対格ゲーで勝てない・・・!』と悔しがらせた男。彼と代表が対戦して勝てる可能性は5%以下。月に100〜300冊ほど読書をし、清水の会社で執行役員としても活躍!

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