2016.05.03 TUE - 読書ブログ
毒親による子供の自信喪失に立ち向かう 『母が重い!』下園壮太 著 読書レビュー
・何かが出来るという感覚
・自分が自分をコントロールしているという感覚
・自分は愛されている、受け入れられているという感覚
これらの点に関して、本を読むとこれまでの経験から納得できる部分も大いにあります。自分自身親の影響によってこれらの感覚が失われた!と強く思いを抱いていたわけではないにせよ、そう考えて記憶をたどってみると、このあたりのことで思い悩んでいたときもあったなと思います。それ自体覚えている分があるということは、そんなに気にしていないけれども無意識的に失っていくような出来事もあっただろうし、それが普通になっていたという状況も考えられます。
たとえば、私が覚えている記憶としてトランプか何かの遊びもしくはボードゲームなど何かを親と一緒に遊びたいと思ったときに断られたことがあり、ものすごく傷つきました。その後遊んではもらえましたが、のりのりというわけでもなく、仕方なくという感じが半端なく漂っていたのでそれ以来一緒にゲームをしようと頼んだことはなかったと思います。おそらく私の親はこのことを覚えていないでしょう。それぐらいたいした話でもなく、いつもの日常のちょっと違う一コマ程度の出来事だという認識です。そのことがあってから特段思い出話で出てきたこともないですし、もちろん謝られたこともないからです。
そのほか親との関係において重要な点もいくつか紹介されています。ある程度共通することではありますが、そもそも親も一人の人間であり完璧な存在などでは決してないということです。それは子どもからの理想の両親像を打ち砕く話でもありますし、逆に親から子に対する理想像も打ち砕きます。つまりお互いにありもしない理想を追い求めていたと気づくということです。親は単なるその辺の人と変わりはなく、感情にまかせて怒ることもあれば、論理的に正しく話をしてくれるときもあり、ギブアンドテイクの関係を求めることもある普通の人です。だからこそ自分が存在するきっかけにはなったと思いますが、それだからといって絶対視すべき存在でもなく、自分が無理をしない程度につきあっていけば良いと思います。
なにより重要なのは自分のケアです。親によって壊されてしまった自尊心、自信、全能感など、それらを取り戻していきましょう。あなたはなんでもできるし、なにをしてもいいのです。そしてそれを親にとやかく言われる筋合いもありません。自分で決めて自分で責任をとれば良いのです。自分で責任をとりさえすれば社会からも受け入れられますし、一人の人間として生きていくことに困ることはないでしょう。自分自身が親の元を離れて成長し羽ばたいていくことを自分に許しましょう。それが心から出来た後であれば、親に対しても許すことが出来るかも知れません。親を変えることは出来ませんが、自分を変えることは出来ます。体力的にも親より上回っているのであれば余計にそうですが、すでに親は年老いた老人であり、老後の安定を最優先に考えている普通の人なのです。どんな関係にするかは自分自身で決めていいことですし、親が望む望まないは一切関係ありません。親は親の人生を自分は自分の人生を歩んでいくだけです。
自分を解放するために親と対決するのも有効な手段です。ここで重要なのは親は変わってくれないという前提で話をすることです。いろんな本を読みましたが、結局親子関係としては何も変わっていないというのがほとんどです。その中で自分としてすっきりしたかというところが重要で、相手の対応やその後の関係性に解決を求めてはいけません。なぜならそれはすべて外的要因だからです。外的要因によって左右されてしまうのであれば、また親子関係やぎくしゃくしたときに過去のいやな思い出とともに呪縛が復活してしまいます。だからこそ内的要因、要するに自分自身の心持ちこそが大切です。自分が親子関係を適切に構築できていると思うことが、親からの呪縛から解放されたときです。
自分自身を親の呪縛から解放し、自由にさせてあげましょう。それが正しい親子関係の第一歩です。その上で老後の面倒を見たいのかどうかを考えれば良いです。自分が親の呪縛にはまっていては誰も幸せになれません。自分を解放し、好きにさせることが関わる人を幸せに出来るようになる第一歩です。親の呪縛なんてないと思っている人もまず一度はこういった本を読んでみることをおすすめします。
大下 周平
一月万冊の清水と大学時代からの友人。ゲームが好き。清水にはじめて『こいつには絶対格ゲーで勝てない・・・!』と悔しがらせた男。彼と代表が対戦して勝てる可能性は5%以下。月に100〜300冊ほど読書をし、清水の会社で執行役員としても活躍!
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