2016.05.05 THU - 速読多読コーチング
まずは親を超えなさい 苫米地英人さん著を読んで親はどの段階でドリームキラーとなるのかを考えた
マズローは人間の欲求を下記の五段階に分けました。
1生理的欲求 (Physiological needs)
2安全の欲求 (Safety needs)
3社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
4承認(尊重)の欲求 (Esteem)
5自己実現の欲求 (Self-actualization)
とあります。親がこの欲求を満たされていない、満たしてこないと子供の壁となって立ちはだかります。簡単に言うと飢えている親は子供に満足いく食料を与えようとしても与えられません。また、自分が貧しいものしか食べてなかったのに、子供が高級レストランで豪遊していたら眉をひそめるようなものです。
簡単に言うと
1生理的欲求 (Physiological needs)
三大欲求はしっかり満たされてきたか?そして今も満たされているか?老後まで、死ぬまで満たされそうか?
2安全の欲求 (Safety needs)
衣食住はしっかり満たされているか?そして将来にわたって満たされるだけの蓄えがあるか?
3社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
友人、仕事仲間、地域、家族の中で愛されているか?そしてこれから愛されていくだろうか?
4承認(尊重)の欲求 (Esteem)
仕事や社会に貢献し、自分に自信を持ち、尊敬されているという確信を持っているか?
5自己実現の欲求 (Self-actualization)
Want toで自己責任で何かを成し遂げたか?
です。
1生理的欲求 (Physiological needs)、三大欲求をしっかり満たしてきた、満たせている、という親はどれくらいいるでしょうか。食欲、睡眠欲、性欲です。存分に食べて、存分に寝て、存分にセックスを謳歌している、してきた親はどれくらいいるでしょうか。親の年代にもよりますが食欲すら満たせなかった幼少期を過ごしている親もいます。セックスはどうでしょうか。これはほぼ100%親は満たせていないでしょう。日本文化において性欲を余すこと無く満たしてきた親の世代というのは皆無でしょう。
そうすると、親は子供が贅沢なものを食べることに嫌悪感を持ちますし、自由奔放にセックスすることにもドリームキラーとなり得るでしょう。贅沢なものを食べるために年収アップする事自体に反抗するでしょうし、子供が性的魅力溢れる人物になる事も妨害するでしょう。
2安全の欲求 (Safety needs)、将来にわたり衣食住を完全に満たし、自分の老後の医療費なども全て用意している親というのはどれくらいいるのでしょうか。親が現在65才以上で、大企業に勤めていたならその可能性は非常に高いでしょう。社会保険・厚生年金によって死ぬまでサポートされる可能性が高い。無論TPPなどによってどうなるかわかりませんが・・・15〜20年くらいは逃げ切れそうです。
現在親が50代で中小企業に勤めているとしたら?老後安心出来るだけの貯金を数千万単位で持っていないとしたら?親は子供の人生を食い物にしてでも自分の安全を確保しようとするでしょう。この安全の欲求が満たされないというのは生命の危機ですからあいまいな家族愛など吹っ飛んでしまいます。抽象的な子供の夢などどうでもよくなってしまうでしょう。
老後の蓄えを自分で確保出来ていない親はバカなのです。自分が年を取ることを考えず、趣味や家族のためにお金を費やしてしまったのです。こんな事言うと親不孝者!子供のために自分は我慢してきたのよ!というでしょう。
しかし、ちょっとまってください。本当に自分の老後を無視してまで子供のために尽くしてきたなら子供にそんなことを言うでしょうか。自分の人生設計のミスを子供に押しつけてるだけです。子供のために自分の老後の資金が無くなったとしても、それが本当に自分がやってきたことなら責任を持って自分で何とかするべきであって、子供に『育ててもらった恩』という曖昧なもので押しつけるべきではないはずです。
親が老後、死ぬまで自分で資産を蓄えていない場合、自分の人生設計のミスを子供に押しつけてきます。バカな人だなあ・・・と哀れみながら、やれる範囲で支えてあげるのはいいと思いますが、自分の夢や目標を諦めてまで親のために尽くすのはやり過ぎです。あなたが手伝える範囲が月5,000円ならそれで充分です。これでは安全じゃない!と親が言ってもそれは親の責任ですから自分で何とかしろ、です。
3社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
これが満たされている親はどれくらいいるでしょうか。毒親関係の本を読んでいると、親が裕福で社会的に地位も高いのに子供に対してドリームキラーになる事例が多く見られます。
例えば宇宙戦艦ヤマトのアニメプロデューサーでもあり、アニメ業界に多大な影響を与えた西崎義展さんの親は父親は東大法学部卒で日本興業銀行勤務のお偉いさんです。父方の祖父は父方の祖父は薬学者で東京女子薬専(現・明治薬科大学)校長を務めた西崎弘太郎さんです。
それでも西崎義展さんのお父さんは子供が何をやりたいのか、なんて無視。高校受験は開成高校に行け!と命令したり、東京大学以外はゆるさん!と言って命令したそうです。西崎義展さんは開成にも行かず東大は2回落ちて日本大学芸術学部に行きます。そして宇宙戦艦ヤマトの大ヒットを飛ばして読売新聞に取材されて、それを得意げに親に持っていったら『読売ごときに掲載されて浮かれるなんてお前はバカだ』と言われてしまう。なんて可哀想なんでしょうか。
他にも、安全の欲求が満たされているように見えるのに子供のドリームキラーになる親は沢山います。そういう親はさみしい人なのです。衣食住が満たされて三大欲求が満たされていても、それは動物として満たされているに過ぎません。人間としての幸せというのは家族や友人、仲間達と一緒にいて愛されてるなあ・・・幸せだなあ・・・とおもい、そして自分自身もその人達のために愛情を注いで嬉しいと思う、そういう物です。
他人のために奉仕して、喜びを感じることが人間の幸せです。それが満たされていないと子供がどれだけ社会的に成功しても親は認めず、むしろ妨害するでしょう。親の方に老後の資産があるなら、子供は子供、自分の人生を歩め、で充分なのにそれができない。どうしても文句を言ってしまう。それは人間としての幸せを感じた事が無いなら、幸せそうにしている人が我慢ならないのです。
4承認(尊重)の欲求 (Esteem)
家族や友人の中で愛されていたとしても、社会、仕事などに貢献した!事を成し遂げた!と自分に自信を持っている親はどれくらいいるでしょうか。
これが出来ていない親は子供に対して『目立つな』『そこそこでいい』『普通の幸せでいい』『分相応に生きなさい』と言う事をいいます。自分に自信を持っていない親は、子供が自信を持っていること自体がコンフォートゾーン外なので子供の自信を奪います。
これは恋愛関係でもよく見られることで、同じ高校に通っていたカップルが、片方東京大学法学部に合格。もう片方がFランク大学に行くと別れやすくなるような物です。これは統計的なデータも出ているので自分でも調べてみると面白いですが、学歴がかけ離れた結婚をしている夫婦というのは少ないのです。院卒は院卒or最低でも学卒と結婚しています。
一橋大学経済研究所 結婚の意思決定モデルとその実証より抜粋
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~kitamura/PDF/P04.pdf
1生理的欲求 (Physiological needs)
2安全の欲求 (Safety needs)
3社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
まで満たして、小さく幸せな家庭を築いてきた親は子供が総理大臣になる!という夢を応援出来ない。起業してビル・ゲイツを超える!なんてことは応援出来ないのでドリームキラーになりやすいのです。
5自己実現の欲求 (Self-actualization)
これを満たせている親は皆無ではないでしょうか。これを満たせている親というのは1〜4を満たしつつ、親の親をWant toで自己責任で超えた人です。Want toで自己責任で現状を超えた夢を叶えた親、というのがどれくらいいるかわかりません。少ない事は間違い無いでしょう。
例え
1生理的欲求 (Physiological needs)
2安全の欲求 (Safety needs)
3社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
4承認(尊重)の欲求 (Esteem)
を満たしているような親がいたとします。安倍総理や麻生太郎副総理のお父さんではないでしょうか。彼らの親は社会的立場や資産、権力の部分で見ても1〜4を満たしている可能性は非常に高いでしょう。しかし、現状を超えたのか?というと疑問です。安倍総理が総理を辞めてミュージシャンになりたい!と言い出したらドリームキラーになるでしょう。
マズローは1〜4の欲求を全て満たしたとしても、それが真に自分が求めている物では無い限り(そして多くは自分が求めている物ではない)、新しい不満を持つと言います。それが自己実現の欲求です。自己実現の欲求というのはコーチング的に言えば『自分のWant toを自己責任で追求したい』という欲求なのです。
以上がマズローの欲求5段階説を参考にした親がどのように子供の壁になるのか、という考察です。
大切なことなのですが、当たり前すぎて理解されていないことがあります。それは
自分が幸せじゃ無いと他人を幸せに出来ない
と言う事です。あなたの人生を犠牲にして他の何かを助けろ!と言われても長続きしません。親という他人を幸せにするためには、まず、子供であるあなたがしっかり幸せになる必要があります。
親がどの部分で欲求を満たせていないのかは分かりませんが、あなたが1〜5までの欲求をWant toで自己責任で満たし、幸せな人生を歩まない限り、親を幸せにする事は出来ません。親を真の意味で超え、親を真の意味で幸福にするためにも、まず、あなた自身が最高に幸せになる必要があります。
親子で争ってる場合ではない
親子というのは基本的に何かしらの葛藤を含んでいる物です。もともと他人なのだから100%わかり合うというのは不可能です。毒親問題などはその最たるものでしょう。しかし、今の時代は親子で争ってる場合ではないのです。TPPが来るかもしれない、これからの国際社会はどうなるか全く分からない。福島原発はどうなるのか、医療保険は無くなってしまうかもしれません。
そんな時代にやることは親子で争ったり葛藤したり我慢し合ったりすることではなく、一致団結して政府や権力者に『私たちがもっと幸せに安心出来る社会を作るためにちゃんと政治をやれ!』ではないでしょうか。親子が争って我慢しあってる内に、社会全体が崩れてしまう可能性の方が大きいのです。
また、世の中は
正社員VS派遣社員
勝ち組VS負け組
のようにとかく対立を煽ります。
ブラックバイト 今野晴貴さん著 日本のブラック化は日本が国家間の戦争で負けている証
の記事にも書きましたが、とにかく権力者は自分が支配してる被支配層同士で対立を煽ります。これは権力者の常套手段でローマ帝国の頃から続いている分断統治という手法です。勝ち組VS負け組だとか、親子で争ってる場合ではないのです。親子で問題としている事は、社会全体が豊かになれば解決する事が本当に沢山あります。
親が子供を縛る原因の多くは老後の不安ですが、仮に年金が死ぬまで充実して与えられる、となったらそこまで親は子供を縛るでしょうか。無論、全ての問題はなくならないかもしれませんが多くは減るでしょう。
しかし、このような視点を持つためにも、やはりあなた自身が幸せになる必要があります。あなた自身が自分を満たし、幸せにして、Want toで自己責任で本当の意味で夢を叶えて社会に貢献出来るようになる事、そしてそのような行き方を自分の子供に見せることが、社会も、親も、他の皆も、家族も自分も幸せにすることだと思います。
清水 有高Yukou Shimizu
ビ・ハイア株式会社 代表取締役
一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。
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