2017.11.30 THU - 読書ブログ
始めに理論ありきの宗教的経済学から、まともな学問的経済学に移行する。東京大学教授安冨歩さんの本を読んで思ったこと。
東京大学教授の立場まで来たなら挑戦せず安定してる方がいいのだけどそこに終わってない。これは東京大学教授という立場にいながら実践しようとすると一般の人には想像もつかないストレスがかかる。是非応援したい。コーチング風に言えばコンフォートゾーンの外に出ようとしてるわけだ。
どう応援すればいいか?簡単だ。安冨さんの本を買え!(笑)
経済学の船出の103ページに
貨幣的価値は社会が存続しなければ存在しえない
とある。これは当たり前の話で、日本が存続しなければ1万円札の意味なんて無いし、地球が存続しなければ地球上に存在する全ての貨幣は意味を無くす。しかし、こんな当たり前のことを経済学は忘れている。更にいえば物理学の法則すら無視している、と安冨さんは批判してる。
経済学の本でマネタリスト、ケインズ派なんでもいいのだけど経済学をこねくり回す人は本当に多い。しかし、きちんと世の中の実情に合わせた経済学の本を書いてる人は本当に少ない。なぜならば、そもそも経済学という学問自体が世の中を無視して作られた学問だからだ。
一般的な学問であればまず起きている現象を観察し、そこに一般的、普遍的法則がないかを検証する。経済学は順番が逆でまず法則ありきでそれに合わない現象は間違ってると断じるからだ。
万有引力の法則があるのはニュートンがそれを発見して理論からしたからであって、ニュートンが万有引力の法則を作って、それに合わないものは存在しない、と言っていたらどう思うか?これは最早宗教の世界だ。科学や学問の世界ではない。経済学はそういう意味では宗教の世界であり、科学や学問の世界ではない要素が非常に強い。
経済学が物理学の法則を無視して作られているのは『生きるための経済学』という安冨さんの本に詳しく書かれているので是非読んで欲しい。物理学の法則を無視しているというのは経済学の有名な大前提『最適化原理』と『均衡原理』を実現する為には無限の情報処理能力を持ったコンピューターが必要だからだ。
Aという商品を買おうとした時に合理的な人間は一番安い商品を選択して購入する
とサラッと経済学は前提にしているけどもこれがまず不可能。Aと言う商品をかおうかな〜と悩んでる時間が1時間くらいだとしてどれくらい調べられるのだろうか。しかし、経済学の前提では全ての人間はこの計算を一瞬で処理できる、という前提にいる。そんなバカな。この辺りの議論は本当に面白いので生きるための経済学を読んで欲しい。
しかし、ここからが恐ろしいし、面白いのだけど、宗教と化した経済学者はこの事実を認めないのだ。頭の悪い経済学者が認めないのではなくミルトンフリードマンを始め様々な一流の経済学者がそれを認めない。認めない理由は凄い。簡単に言うと
経済学を信じてないからわからないのだ
と言う理由だ(笑)これは最早科学や学問ではなく神学や宗教の世界だろう。予定説に基づいたプロテスタント達が資本主義を発展させ、宗教という名前を付けないまま貨幣という免罪符、経済学という聖書をばらまいている、と考えたら非常に理解できる。資本主義経済において経済学を信仰しないものは異端者であり、経済学に載ってない現象は経済現象として認められないのだ。
始めに理論や法則が作られ、そこに社会が当てはめられていく
こんなにいびつな事はない。そのせいで貧富の差は拡大し、現実問題として我々はどんどん生きづらくなっている。何度も言うけどこれは恐ろしい事だ。医学がもしこのように作られていたとしたらゾッとする。
始めに医学理論があって、そこに人間が当てはめられていく
としたら?昔、細菌という存在がわからない頃、医者は手を消毒する知識を持って無かった。そのせいで手術の際にどんどん人が死んだ。当時の最先端の理論では細菌など存在しなかった。だから死ぬ方が悪い、なんてことになったら恐ろしい事だ。医学であれば修正されている。古典物理学の世界だって量子論が生まれたからはミクロの世界観は随分変わった。かつて正しかったことが今は間違っている、と言うことは良くある。そのような柔軟性を一般の学問が持てるのはやはり
現象を観察し、そこから理論や法則を見出していく
という事が大前提になってるからではないだろうか。もしその素直さを経済学が持たないならこれからどのように貧富の差が拡大しようが、地球を滅亡させようが知らんこっちゃ、ということになる。恐ろしい。
とはいえ、最近の経済学のノーベル賞受賞者を見てると行動経済学といういわゆる心理学と経済学をマッチングさせた理論を展開してる人が多い。それどころか経済学を学ばない人達がノーベル経済学賞をとっている。例えばファスト&スローの著書で有名なダニエルカーネマンは心理学の教授だ。カーネマンはノーベル経済学賞を取ったことについて「心理学者はノーベル賞受賞を喜びはするが、私を特別な存在にするとは思わない」と述べている。もしかしたらノーベル経済学賞というのはまともな学者からしたら受け取ってもそれほど嬉しくない賞になりはてているのかもしれない。
ま、それは邪推だとしてもファスト&スローに紹介されているプロスペクト理論はあきらかに現象を観察した上で理論を作ってる。プロスペクト理論はかきありき、その理論に当てはまらない行動をする人間は人間ではない、と言う理屈ではない。
安冨さんの本は経済学にある嘘を見破りつつ、とは言えより良く生きるために、社会をよくしていくためにどうすればいいのか?そのために経済学が役に立てる事はないのか?という事に挑戦している。そして神学的宗教的な
始めに理論ありき
ではなくて、世の中を見渡して観察して、自身の経験も踏まえて一人の人間として格闘されている。その上、自分のやりたくない事をやっても幸せになれない、自分のやりたい事をやろう、と言って女性装までされている。また、安冨さんは京都大学経済学部を卒業されてから住友銀行に入社してバブル時代のまっただ中をビジネスマンとして経験されている。人間としても正直に生きて、ビジネスマンとしての経験もあり、血の通った理論を模索される方が学者としているのが本当に私は嬉しい。
と言うわけで安冨さんの本を買え(笑)
かつてジョン・ロックが統治二論でサーロバートフィルマーを批判したように、経済学も神授王権化した裸の王様を誰かが止める必要がある。
あと、私が安冨さんと東大でやる講義はあまりにも人が来すぎたので一旦募集を停止していました。しかし、何とか会場を広く出来たので180人くらいまでは席の余裕があります。あと50人くらいは申し込んでOKです。
不登校の未来〜東大教授と年収1億稼ぐ社長が語る社会で生きる技法〜
https://www.facebook.com/events/240847039782325/
経済学の船出 ―創発の海へ
安冨 歩
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生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却 (NHKブックス)
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今日も読書!
一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学で講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。コーチングと読書を通じて色々な可能性をみんなに伝えていきたくてこのチャンネルを運営中。月1,500冊以上の読書をして、それとは別腹で漫画も毎月数百冊読む。趣味はパイプ、葉巻、ドライブ、喫茶店&本屋巡り。
清水 有高Yukou Shimizu
ビ・ハイア株式会社 代表取締役
一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。
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