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2016.06.16 THU - 読書ブログ

親を殺すも生かすも捨てるも捨てないも自分で決めるために読書

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親を殺せとか、親を捨てろとか、色々物騒な本が沢山でてる。でも、視点を変えると人類の寿命が延びているのに、寿命が短かった頃の価値観を引きずってるから起きてる軋轢に過ぎないから起きてるんだなあとわかる。今日読んだ本の一部は宗教学者の島田裕己さん『もう親を捨てるしかない』とお医者さんの石蔵文信さんの『親を殺したくなったら読む本』。

読書をしっかりして

親を殺すのも生かすのも自分が決める
親を捨てるのも捨てないのも自分が決める

と決められる人生になりたいと思う。

平均寿命は厚生労働省によると

我が国の平均寿命について見てみると、1947(昭和22)年は男性50.06年、女性 53.96年だったが、その後大幅な延びをみせ、1980(昭和55)年には、男性73.35年、 女性78.76年となった。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-01.pdf
heikinjumyou

となっている。戦後まもなくの頃でたった50歳。明治の頃はもっと短くて40代前半くらい。それが今や70歳どころか、80歳、90歳と伸びている。この事実を無視して親孝行、親の老後の面倒をみるという常識だけがずっしりと我々にのしかかっている。しんどくて当たり前だ。

親の老後の面倒をしっかり見る
親孝行をキチンとやる
結婚をしっかりして一人前

という我々が当たり前の様に持ってる価値観はだいたい明治の頃に作られた。

一夫一婦制とか結婚全員するとかそういう価値観は明治から昭和初期にかけて作られた価値観で、日本人がずっとそうだったわけではない。富国強兵、所得倍増のために労働人口、兵隊になる人を増やす必要があったから政府が産んだ価値観、文化に過ぎない。

例えば今、離婚が増えている!熟年離婚だ!大変だ!夫婦の危機!ということが叫ばれているけど

立教大学講師の本川裕さんのサイトによると

離婚率は,旧民法下の家制度が十分に定着していない明治中期まではかなり高かった。その後、1898年の民法典施行ののち、次第に低下し、戦後、婚姻数の増加と連動して、一時的に上昇した後は1960年代まで低下傾向にあり、1963年には人口千人対比で0.73と戦後最低を記録した。しかし、その後上昇傾向に転じ、1980年代には婚姻数の減少の影響もあって一時低下傾向を示したものの、2002年には2.30と戦後最高の離婚率を記録した。

rikonritu

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2777.html
とあるように、別に150年単位で観ると離婚律が低かったのは珍しいことで、明治前半の頃のほうがもっと高い。でも政府としては直ぐ離婚されて子供を育てない、増えないとなると大変だから一夫一妻という価値観、離婚するのは恥ずかしい、というのをどんどん推進していく。結婚、恋愛という人の感情に関する事すら人は意外と自分で決めてない。

自分の結婚、恋愛ですらそうなら、親の面倒を見なければならない、老後をしっかり面倒をみるのが子供としての役目・・・というのも所詮は作られた価値観に過ぎない。動物を見ればわかるように、犬や猫が親の老後を見るなんて事はない。年老いた動物はひっそり死んでいくだけだ。

明治の頃、昭和最初の頃までは親の面倒をみる、と言っても平均寿命が短いのでそんなに苦労はなかった。いや、その当時の人達からしてみたら親が死ぬと言う事は哀しいことだし、それなりに苦労はあった。

でも介護が5年、10年、20年単位で続き、老老介護と言われるように老人の子供が高齢の親を介護するなんてことは一般的ではない。そんなに介護する前にさっさと死んでしまう。お墓に入って行く。そしてお墓を掃除してお墓参りをしたら親孝行だった。それが今や介護殺人というのが起きてるくらい老後の面倒は大変なモノになった。これも寿命が延びていて、旧来の価値観や制度が役に立たなくなったのに昔の価値観や常識に囚われているせいで起きてる軋轢なんだろう。

親を殺したくなったら読む本にも書いてあるけど、

いい家族なんてメディアが作った幻想

とある。孫を抱かせて、いい夫婦であり、親の老後を面倒みて・・・なんて理想像はメディアが作り上げた虚構であって、いらないならいらないで拒否していいもの。そうじゃなくて、それが絶対的な価値観だと思うからストレスになり、最終的に殺す!にまで行ってしまう。だからこの本の著者は『殺したい』『あっちいけ』と思ってもそれは自然な反応だから、それを感じても『なんて自分は親不孝なんだ』と責めなくていい、と書いている。

確かにその通りで、メディアは色んな幻想を生み出す。例えば

車に乗ることは格好いい

という文化だ。私が18歳の頃は運転免許を取るのが当たり前で、運転免許を持っていないなんて非常識、彼女すら作れない、と言われた時代だった。私はそれがムカついたので運転免許はとらず、講習センターにいく為の費用でMacintoshを購入し、パソコンの勉強をしていた。そして負け惜しみになると嫌なので、キチンと彼女も作って恋愛した(笑)にたもの同士で引き合うもので、彼女も運転免許を持っていなかった。恋愛は4年ほど続いた。

しかし、大真面目に

車を持ってないなんてかっこ悪い

と思って悩んでいた人がいたのも事実だ。車ならそこまで親ほど幻想は強くないのかもしれない。でも、本質的にはメディアが作った幻想を欲しいと思い、持って無いから悩む、という不幸な図式は同じだ。

親を殺したくなったら読む本も、親を捨てなさいという本も、今の幻想から抜けるために読むなら凄く良い本だと思う。でも、無意識の内に

親を大切にするために
親を大切に出来ない自分は駄目

というのが残っていたらちゃんと読めないし、結局視野が広がらない。

読書をしっかりして

親を殺すのも生かすのも自分が決める
親を捨てるのも捨てないのも自分が決める

と決められる人生になりたいと思う。自分が決めたことなら自分で責任を持てるし、幸せも不幸も自分が決めたことだから、と納得がいく。自分が決めず他人の影響で決められていると何をやっても幸せも不幸も感じにくい。それはもったいない。そういう幻想から1つ1つ抜け出すためにも今日も読書だな、と感じつつ、記事を書き終わったらまた本を読もうと思う。
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清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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