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2016.05.03 TUE - 読書ブログ

『子別れレッスン「おっぱい男」と「わがまま妻」』斎藤学、久田恵著 を読んで

kowakare親の視点で子どもとの接し方を考える

こんにちは!一月万冊の大山です。いくつか私の過去のことも踏まえて親に虐待された子どもの視点での親子関係(主に母娘関係)の本をご紹介してきましたが、今回は視点を変えて親からの視点で子どもとどう接していけば良いか、という本をご紹介したいと思います。私はまだ子どもが居ません。というより、未婚ですし自分が親にされたことを考えると同じ事をしてしまいそうで結婚や出産といったことに少し消極的です。とはいえ、親に影響されたせいで自分自身がもしかしたら結婚・出産したら得られるはずだったかも知れない新しい家族関係を法規するというのはすごくもったいないことだと思いますし、未だに親との関係性を引きずっているせいで未来の可能性まで奪われてしまうのはとてつもなく悔しいです。私が未来を選び取っていくためにも、過去の親子関係を清算することが必須ですし、そのためには虐待されていた子どもの視点だけで無く、虐待していた側の親の視点を取り入れる必要があると感じました。


親は虐待したという意識が無い

この本を読んで分かったことは、親側からしてみたら子どもに虐待をしたという意識は全くなく、むしろ「自分のせいで育て方を間違えた我が子を軌道修正しなければならない」という強い想いから自分を責め、律っし、会えて子どもに厳しく当たるという親の姿が浮かび上がってきました。とはいえ、それは口では「子どものため」と言いますが、「良い子に育てた」という結果を自分に与えたいがため。です。親だって親になっていきなり聖人君子や聖母マリアのようになるわけではありません。一人の人間として、自分のしたことに満足したいし褒められたい。母親だったら夫に、自分の子育てがうまく行った結果として聞き分けの良い子ども、出来の良い子どもを見せて褒められたいのです。

妻のことを褒めない旦那は日本には多いです。私自身、直接的に攻撃に遭っていたのは主に母からで、言葉や、時には手や足が出て私という人格を否定するような情報を散々植え付けられましたので、母親が毒親であり対峙するなら母親としなければならないと思っていましたが、そんな母親も自分自身の子育てへの自信と、それを認めてくれない父親(旦那)への不満を溜めに溜めた結果、満たされない承認欲求を目の前の子どもにぶつけたという状況なのでは無かったかと今では想像出来ます。私も大人になり、男性と結婚して家庭を作るという想像が難しくない年齢に達したからです。実際に私の母はいまの私の歳には、すでに私という子どもを持っていました。翻って今私が聞き分けのない娘を持って子育てに奮闘しながら、理解も褒めてもくれない旦那に不満を持たずに楽しく生活出来るかと言ったら、確かになかなか難しいかもしれないなと思えます。母親も大変だったのだ。そう考えて許してあげてもいいかもしれないと、大人になった私は考えますが、子どもの頃の私が理不尽に親に存在を否定されて良いのかというと、それはまた別のお話です。大人の視点で理解して上げる事はしてあげてもいいとしても、子どもの頃に受けた心の傷は子どもとして解消しなければ意味がありません。


「おっぱい男」と「わがまま妻」も親子関係の結果

表題にもある「おっぱい男」と「わがまま妻」の構図も、親に愛されなかった子どもが生み出す新しい歪んだ家族の形です。これは、私の妹夫婦に重なる部分があります。妹を贔屓し何でも妹優先で私の存在を否定しながらに家事や妹の世話を押しつけ、その上学業も満足のいく結果を出せないと徹底的に存在を否定してくる母親から離れたくて、大学進学とともに実家を出ました。大学生活を一人暮らしを始めた解放感で楽しく過ごしていた私でしたがその後、今まで母親に溺愛されていると思っていた妹が今度は母親の完璧主義の犠牲になっていると言うことがわかりました。当時妹は水泳の選手育成コースに入り、ジュニアオリンピックにバタフライで出場し好タイムを記録するなど、大会上位常連で将来有望な水泳選手として名が知られた存在でした。妹の高校受験と水泳での自己記録更新のプレッシャーが重なったとき、かつてないほど母は妹を責めて追い込み、「水泳で良い学校の推薦を取りなさい!」「そのためにも自分の記録を破って成果を出しなさい!」と毎日毎日妹を追い込んだそうです。その結果、妹は毎日プールに飛び込む度に鼻血を出し、満足に練習が出来ない状態に陥りました。今まで母を奪い合うように何でも私に挑みかかり、勉強もスポーツも頑張っていた妹が、今度は一切何もしなくなり学力も落ちて、母は激怒し落胆して、私にメールをしてきました。「妹ちゃんが悪い子になっちゃった!どうしよう!」と。私からして見れば、それだけ親から追い込まれれば当然の結果だろうと思いましたが、母は突然「悪い子」になってしまった妹を受け入れられず彼女を精神科に連れて行きました。

それから、妹は勉強も水泳も諦めました。「やりたいようにする!」と言って、見学に行って一番面白そうだと思った高校に進学し、水泳もすっぱり辞めてアニメやゲームの趣味に没頭しました。その結果、高校で一生の友人を得て歌ったり踊ったりする楽しさに目覚め、声優になってゲームに出演したりと、明るさを取り戻し楽しく人生を謳歌しているように見えました。そして昨年結婚したのですが、結婚した旦那さんが、この本に書いてある「おっぱいを持った男」で、その旦那さんにわがまま言い放題で色々なものを買わせたりしている妹が、「わがまま妻」に当てはまるようで心配で成りません。わがまま妻は、母から得られなかった愛情をそのまま旦那に求め依存し、依存させるような言動をします。どうか自分がそうかもしれないという奥様と妻のわがままに逆らえない旦那さんはこの本を読んでみてほしいと思います。


親子がしっかり別れること

親子は、いつまで経っても親子です。死んでも、親子の縁は切れません。親にどんな育てられ方をしてきたかは、その後の人生に大きく影響を及ぼし、また次の世代へと受け継がれてしまいます。それがどんなに影響力を持ったものなのかを親になる人は考えなければ行けません。親も親で、1個人として認められたい・褒められたいという欲求を持つことは否定できません。しかし、それを押しつけたまま次の世代にまで踏襲させてしまうようなことはあってはいけないのです。それを防ぐためにも必ず、大人になるまでの間に親子間で綺麗に親離れ・子離れしておく必要があると感じました。親と子の関係を清算して、大人同士として助け合っていくことが、求められる親離れ・子離れです。ヒントはこの本に書いてあります。子どもの視点から見ても興味深い本ですので、ぜひ確認して見てください。
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大山 莉加Rika Ooyama

ビ・ハイア

ビ・ハイア株式会2010年に正式入社。 千葉県茂原市出身。昭和62年11月19日生まれ。 専修大学文学部2010年卒業。

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