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2016.05.01 SUN - 読書ブログ

生まなきゃ良かったと言われた娘が書く読書レビュー『母が重い!〜しんどい「母と娘の関係」を楽にするヒント〜』下園壮太著

母と娘の問題は今やメジャー化している

昨日、久しぶりに母と娘の親子関係についての読書感想と私自身の少女時代を綴った記事を連投しました。

アラサー アダルトチルドレン『結婚できないのはママのせい?〜娘と母の幸福論〜』五百田達成 桜場江利子著 を読んで

なぜ親子関係は切れにくいのか 『結婚できないのはママのせい?〜娘と母の幸福論〜』を読んでコーチングの視点から考える


この読書感想で取り上げている『結婚できないのはママのせい?娘と母の幸福論』を買った丸善ジュンク堂書店渋谷店の、人文の棚の「AC(アダルトチルドレン)」コーナーには様々な親子関係にまつわる本が並んでいるのですが、そのほとんどが「父と息子」でも「父と娘」でも、「母と息子」でもなく、「母と娘」の問題についての本でした。コーナー全体の約8割が、「母と娘」問題について扱った本で、母とうまくいっていない娘である私としても非常に興味をそそられましたし、こんなに今の私の状況にフィットする本があるのか!とびっくりしたのですが、逆説的に言えばそれだけ母とうまくいかない娘達が日本中で悩んでそういった本を求めるほどに需要があるということになります。親子の関係は、閉じたパーソナリティの中の話のように思えますが、いまや数ある親子関係の問題の中でも母娘問題は最もメジャーな問題であり、世界でたった一人のお母さんとの不仲に悩んでいる娘は、貴女一人ではない。ほとんどの娘たちが、たった一人のお母さんとの関係をしんどく感じ、悩み、罪悪感を持ち、辛い状況を生きているんだと声を大にして教えて上げたいし、みんなで辛さを吐き出し合って心を軽くしてあげたいと切に願います。


なぜ母娘の問題は多いのか

なぜ、これほどまでに母と娘の問題は多発しているのか。その答えが書いてあるのが、下園壮太さん著『母が重い!〜しんどい「母と娘の関係」を楽にするヒント〜』です。著者の下園壮太さんは、自衛隊初の心理幹部として、陸上自衛隊衛生学校のメンタルヘルス教官としてカウンセリングなどを教える立場でした。自衛隊といえば、現在熊本震災の復興のために現場で肉体的にも精神的にも被災者の方々を救ってくれている最中ですが、そうした心と体を助ける考え方を自衛隊にもたらしたのがこの下園壮太さんだと言えます。一見、自衛隊のような男性の方が多い状況と母娘問題はつながらないように思えますが、案外女性の話ばかりに偏らない環境で男性の特性と女性の特性を区別して比較検討できる場に身を置いていた著者だからこそ見えることもあるのかも知れません。

Fotolia_93587622_Subscription_Monthly_M-330x220-1-330x220この本で指摘されていることとして、「女性は過去にとらわれやすい」というものがあります。親とトラブルになったり関係性がうまくいかないのは、圧倒的に女性の方が多く、それは女性が人間関係において「過去検索をすることが多い」からだという著述があります。それは、太古からある「本能の男女差」が現れている結果であり、女性は現状がうまく行かないと過去をさかのぼって原因を探し、不安とともにシミュレーションを重ねて消耗してしまうそうです。昔母親に言われたことを、言われた場所や空気感も含め鮮明に思い出し、憂鬱になることが、私にも多々有ります。

例えば、お風呂場まで引きずられ、蹴られて転がった時に感じたタイルの冷たい感触や、それよりも冷たい「あんたなんか生まなきゃよかった・・・」とつぶやいた母の声。母は顔をそらしていました。泣いていたのかも知れません。私も悲しかったですが、同時に「あぁ、やっぱり。」と思いました。やっぱり母は私を嫌っているんだ。生んだことを公開するほどに。妹だけ贔屓され、私は何をしても怒られるしけなされる。それは母が私を嫌っているからで、生んだことを後悔するほどに私が母にとって悪い子だからいけないんだ。顔をそらし泣いているかも知れない母。彼女をこんなに追い詰め悲しませているのは他でもない私だ。消えて無くなりたい。私は母を悲しませたいわけでも、追い詰めて苦しめたいわけでもないのに。いるだけでこんなことになるなら、私なんて居ない方が良いじゃないか・・・!この風景とその時の感情は、その後何年も、何十年も私が母を怒らせたときだけでなく、誰かを傷つけてしまったとき、恋愛や仕事でうまく行かなかったときにフラッシュバックのように鮮明に甦りました。

それらは女性の持っている本能のせいで起こる現象なのだと、この本を読んでようやくわかりました。同時に、思い返せば母もよく「そんなのうまく行かないんだから辞めときなさい。」といったような過去ベースの不安から来る小言をよく言っていて、そのキーワードが出たら私は直ちに新しい挑戦をすることを辞めて、素直に母に従っていたことを思い出しました。女性特有の、過去検索能力によって母の過去をベースに信じている範囲から抜け出せない娘。母と娘の過去に縛られた言葉の呪いのような構図が浮かび上がりました。


悩まない男性はどう考えているのか

そうした過去に縛られる女性特有の状態から脱却するためには逆に、そのことで悩んでいない男性側の考え方を取り入れることも有効です。男性達はなぜ悩まないのか。それは、過去ではなく未来と現在が大事だからです。太古より、男性は狩りに出て獲物を獲ることを仕事としてきました。そのため、過去がどうだったか悩むより、今目の前の獲物をどのように捕獲するかが一番大事だったのです。集団の中でコミュニケーションを取り、身を寄せ合って生活する上で相手の言動をしっかり覚え、過去のデータから引っ張ってきて「信頼出来る相手かどうか」を逐一見極める必要があった女性と違い、男性は常に次の獲物、次の方法、と思考が未来を向いています。この、思考が過去を向いているか未来を向いているかという部分が最大の違いであり、母の過去に縛られた女性の突破口でもあるのです。


businesskid-330x220-330x220恋人や仕事に母をトレースしていないか

過去に縛られて母と問題がある女性に多い傾向として、恋人や仕事に母をトレースしてしまうという問題があります。私自身も、母の気に入るように勉強やスポーツや芸術を頑張って、いつか褒められたい、褒められたいと思っていましたが「褒めて欲しい」と本人に伝えることも、褒められることも無く少女時代を終えてしまったという過去があり、そのせいか未だに意中の男性が出来たとしても自分から思いを告げることが出来ず、逆に全く興味の無かった男性であっても「好きだ」と言われると舞い上がるほど嬉しくなってお付き合いを了承してしまったり、仕事でも取引先や上司に褒められることを至上命題として何を差し置いても自分が褒められそうな動きを取っていたりします。褒められる仕事というのは会社にとってプラスになることもありますが、逆に一つミスを犯してしまい、仕事として叱られたりクレームになったりしようものなら、それこそ母に叱られた時と同じように「もうこの世に生きていけない。私はいらない子なんだ」というぐらい徹底的に落ち込んでしまいます。これらは、母から得られなかった愛情行動を恋人や仕事で代わりに得ようとしている行動に他なりません。体は大人になっても、心は子どものまま際限なく愛情をほしがって、褒めてあやしてほしがっているのです。こうした状態のことを「AC(アダルトチルドレン)」といいます。

前述の通り、男性は未来の成功のために動いているため、当然仕事で叱るときは未来をうまくいかせるための一環として役割で叱っています。それなのに、過去に縛られた女性が過去の情動を引っ張り出して母に嫌われて生きていけない子どものように泣きじゃくっていたらどう思うでしょうか。少なくとも仕事は全くうまく行きませんし、過去と未来で見ているものが全く違う男性からして見れば、「泣いたらうまく行くと思っているのか!」と卑怯に思われても仕方有りません。


女性も未来を見て自分の人生を生きていく覚悟を決める必要がある

このように恋人や仕事に母をトレースして過去を嘆いてばかりいる女性は、悲劇です。私も私への自戒と希望を込めて言いますが、過去を見て母を気にして感傷に浸っていては、自分が幸せになれないので即刻その態度を改めるべきです。「AC(アダルトチルドレン)」の女性は、こころに小さな頃の自分を閉まってあります。「インナーチャイルド」というそうですが、そうした、「失敗した→嫌われた→生きている価値がない!」というトラウマスイッチが入ったときに出てきてしまうインナーチャイルドに対処していくためには、大人になった自分自身が子どもの自分を救ってあげるしかありません。母親に分かってもらおうとか、母親から愛情をもらおうと思っても無駄です。小さな子どもが必死に訴えかけていたことが通じなかったのであれば、大人になったらもっと突き放されるのがオチです。

娘に対して厳しい母親もまた、心にインナーチャイルドを持っていることが多いといいます。自分が褒められ認められたくて心で泣いている母親に、「子ども時代の私を褒めて、認めて、謝ってよ!」なんて言っても通じないのです。今までの恋愛や仕事で全て満たされ幸せになっていないのであれば、外に解決を求める方法は間違っていると言うことです。私達は娘を卒業し、母を解雇して自分の幸せを掴みに未来を生きるべきなのです。その方法と考え方は、この本に書いてあります。ぜひ、読んでみてください。
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大山 莉加Rika Ooyama

ビ・ハイア

ビ・ハイア株式会2010年に正式入社。 千葉県茂原市出身。昭和62年11月19日生まれ。 専修大学文学部2010年卒業。

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