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2016.04.30 SAT - 読書ブログ

なぜ親子関係は切れにくいのか 『結婚できないのはママのせい?〜娘と母の幸福論〜』を読んでコーチングの視点から考える

親子の呪縛から抜け出せない

おすすめ読書 『結婚できないのはママのせい?〜娘と母の幸福論〜』五百田達成 桜場江利子著 を読んで
アラサー アダルトチルドレン『結婚できないのはママのせい?〜娘と母の幸福論〜』五百田達成 桜場江利子著 を読んで


という文章を書きましたが、今度は別の視点で何故、問題があっても親子関係は続いてしまうのか?続けたいのか?について書きたいと思います。本書のテーマである「結婚できないのはママのせいなので、もうママを解雇しよう。」については私自身通読して心から賛同しましたし、今までの友人関係・人間関係・恋愛・仕事に至るまでものの見事に約20年間の母からの呪縛によってうまく行っていなかったと言うことが分かり、即刻母を解雇しようと思い至ったわけなのですが、実際にはそうスパッと「クビ!」を言い渡せるはずもなくたいへんな心理的混乱と罪悪感と悲しさ、辛さにさいなまれました。

育ててくれたことに感謝している

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その大きな要因としては、母はなんだかんだ辛く当たりながらも、大学進学で家を出る18歳まで私を健康に育て上げてくれたということです。殴られたり蹴られたりと言うこともたまにありましたが、それが原因で大きなケガをしたわけでもありませんし、食べ物を与えられず餓死寸前になったと言うこともありません。大学進学や一人暮らしの資金も出してくれました。私の場合は幼稚園から中学校まで公立、高校・大学は私立で、一人暮らしの約6万円の家賃も出してもらっていたので、およそ1,570万円ほどかかっています。(参考:http://lify.jp/contents/insurance_point/p18.php)幼稚園の頃に大病をして長期入院していたことも考えると更にかかっていたと思いますが、これだけの金額を使って育ててくれた恩義がありますので、感情論で「あなたのせいで辛かった!」ということすら罪悪感があったのです。

さらに思い返してみると母が教育熱心に、やれ医学部だ、やれ弁護士だと追い立ててくれたおかげで、勉強の水準が上がり親戚一同で初めて4年制大学に通うまでの学力が身につきました。父方でも母方でも、後にも先にも4年制大学まで出たのは私だけです。それに、母に認められようと必死で頑張った結果、何事にも頑張れる頑張り屋さんに成長しました。これも、バイト先や勤務先でよく褒められた私の美点の一つだと感じています。決して嫌なことだけでは無かった。だからこそ、感謝しなくてはいけないし良い部分も育ててくれた母に対して反旗を翻すことなどできない。そうした「しれくれたことへの負い目」が母と決別できない理由となって大きく厚い壁になっていたのです。

manincage-e1451216620629-300x127「育てた恩」とは誰の言葉か

しかし、「育てた恩」とは誰の言葉でしょうか。お金をたくさん払ってもらったこと、色々してくれたことへの負い目を感じさせる最初の言葉はなんだったでしょうか?それはやはり、母からの「育ててやった。」「お金がないのに、あなたのために・・・」といった言葉でした。そもそも私が「貴女の元に生まれるので、お金と時間をかけて私を育て上げてください。」と頼んだ覚えは一度もありません。親は親の都合で子どもを作り、育てたはずです。自分たちで作ったものを育てるのは当たり前で、それが嫌ならベビーシッターに預けるなり孤児院に連れて行くなり、捨てて罪をかぶって償うなりして責任を取れば良いのです。それをせず、大変さを全て子どものせいにして吹き込んだのは誰でしょうか。まごう事なき親です。子どもは、親の言葉によって「育てた恩を返さなくては成らない」という呪いにかけられてしまっています。

そうした呪いをかけられた結果、子どもは親に育てた恩を返さない限りは親に逆らってはいけないし、離れてはいけないと思い込んでしまいます。その結果、成長の過程でどんなにひどいことを言われ絶望し辛い思いをして、それを大人になっても引きずったままだったとしても、その気持ちすら親に打ち明けることは出来ません。

mazuoya娘の自信を奪う親

最新脳科学と認知科学を元にした自己実現プログラムとして、アメリカのフォーチュン500に入っている有名企業でも取り入れられている手法、「TPIEコーチング」で、最も重要なのは「アファメーション」と呼ばれる言葉による自己暗示法なのですが、その基本は「私は〇〇できていて嬉しい!」と言ったように、理想とする状態が今まさに叶えられているかのように情動タップリに唱えることです。

そのまさに正反対を行くのが、母からの呪文です。「あなたは私がいないと何にもできないんだから。」「あんたいつまで経っても結婚なんてできないわよ」「ママの言ったとおりでしょ。」「どうせ失敗するんだからやらなくていい!」「そんなに仕事してどうするつもりなの?」これらは実際に私が言われた言葉です。本人は心配から発している言葉だと思いますが、自己実現とは全く正反対の、「できない」ということにばかりフォーカスする言葉を呪いのように吐きかけて、子どもからどんどん自信を奪います。こうして自信を奪われた娘はやがて自分で考えてチャレンジすることを諦めます。母の言うとおりにしていれば怒られずに済むし、母の言うとおりうまく行かなくても、母は「ほうらね、うまくいかなかったでしょ。」と得意げに許してくれるからです。母が娘を手元に置いて、いつか自分が困った時に支えになるようにコントロールして支配下に置くことと、娘の「ダメな娘でも置いてくれる」は共依存状態になっていて大変危険です。

Fotolia_91978766_Subscription_Monthly_M-330x220本当に恩を返すのは、あなたが幸せになって老後の余裕を持つこと

こうした共依存状態になっている親子の関係は切れ辛いです。しかし、親としてはずっと子どもを支配下に置いて安心できますが、それでは子どもの人生は台無しになってしまいます。子どもは親を選べません。まして育ててくれと頼んだわけではありません。親の勝手で出来た子どもは、世に出た瞬間から1人の人間として自分の人生を生きる権利を法的に与えられています。その権利をしっかりと自分のものにし、自分の人生を生きるためには絶対に、親のために生きるようなことがあってはいけないのです。

本当に恩を返すのは、あなたが自分の人生をしっかり生きて幸せに過ごし、親が生活に困った時だけお金で助けて上げる事なのです。親の支配下にあるのではなく、親を超えて余裕を持って助けて上げられるようになることこそ、本来の親子のあるべき姿ではないでしょうか。

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大山 莉加Rika Ooyama

ビ・ハイア

ビ・ハイア株式会2010年に正式入社。 千葉県茂原市出身。昭和62年11月19日生まれ。 専修大学文学部2010年卒業。

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