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2016.01.21 THU - 読書ブログ

教育とクリエイターとしての勉強 葛根湯とバファリンの違い知ってますか?基礎知識が無いと全てを間違う

この記事は私が経営する会社のメディアに載せたモノですが一月万冊向けでもあるな〜と思ったのでこちらに転載します。

この記事を読んでいただきありがとうございます。この記事では自分が成長する、周囲の人を教育していく、自ら学んでいく時に重要な基本的な知識について語りたいと思います。なぜなら大前提が間違っているといくら努力をしても全て無駄になるからです。

kusuritigai葛根湯とバファリンの違いがわからない人は社会人失格
教育の話なのにいきなり葛根湯とバファリンの話になって面食らうかもしれませんが少しお付き合いください。21世紀のこの時代、少なくとも葛根湯とバファリンという大衆薬の違いがわかってない人は社会人・・・百歩譲って上司失格。大人失格、親失格です。

薬の基本的な違いもわからないなら上司失格
頭が痛い・・・ちょっとダルい・・・そんな時に葛根湯を飲むのか、バファリンを飲むのか、それは身体に起こす作用は全く違います。もし、その違いもわからず飲んで仕事をしたりしていたら最悪です。少なくとも企業は法律を守る必要があります。守るためには当たり前ですが、知っている必要があります。その一つが労働安全衛生法です。

hlogo http://www.jil.go.jp/rodoqa/08_eisei/08-Q01.htmlによると
労安衛法は、職場における労働者の安全と健康を守り、労働災害を防止することを目的とする法律です。労安衛法は、13章および附則からなり、総則、労働災害防止計画、安全衛生管理体制、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置、機械等並びに危険物及び有害物に関する規制、労働者の就業に当っての措置、健康の保持増進のための措置、快適な職場環境の形成のための措置、安全衛生改善計画等について定めています。

とあります。これについて詳しく知りたい人は勉強して良いのですが、簡単に言うと『労働者の安全と健康を責任者が守りなさい』ということです。その時に、ちょっと頭が痛い・・・ダルい・・・という人間にバファリンを飲ませて働かせる、あるいは、本人が自らバファリンを飲んで頑張っているのを知りながら働かせる・・・これは上司失格です。

私が昔働いていた時は『ちょっとの風邪くらいで休むな』という感じでしたがアレは間違いなのです。少なくとも私の会社では風邪をひいていたら即、やすませます。更にいうと飲んでいる薬までチェックして、その状態を確認します。そして本人の自覚症状としてのしんどさがなくなり、なおかつ薬を飲んでから何時間後に熱を測って平熱ならOKと言う風に判断しています。これらはネットで調べれば直ぐ分かる事です。

41FZFNIxRKL最低限のヘルスリテラシーが無いと致命的
最近読んだほんの一つに星槎大学副学長の細田教授が書いた本があります。パブリックヘルス 市民が変える医療社会という本です。この本の111ページにヘルスリテラシーという言葉が出て来ます。

ヘルス・リテラシーというのは、一般の人々が健康に関する情報を収集、理解、利用したりする能力と共に、専門家の人々が一般の人に健康に関する情報をわかりやすく適切伝える能力を意味する概念です。

と書かれています。病気と健康と薬に対する一般的な、最低限の知識、と言う事です。昔私が聞いたラジオ番組の話の中で『子供が熱を出したから水風呂に子供を入れた親が医者にぶち切れられた』というエピソードが紹介されていました。これもヘルスリテラシーが無い証拠です。

この本の中ではヘルスリテラシーがない事で途上国では多くの子供達が病気で死んでいることが紹介されていました。では、日本人はしっかりヘルスリテラシーがある!と確信を持って言えるのでしょうか。少なくとも私の会社では葛根湯とバファリンの違いを説明できるスタッフはいませんでした。(今では大丈夫です。もし、まだ知らないスタッフがこれを読んでいたら直ぐにググって調べましょう!)更にいえば、昔の勤めていた会社も、知り合いの会社もそういう知識がある人はいませんでした。

その人達はよかれと思って病気でも気合いを入れて働いているかもしれません。また、それを監理する上司も薬飲んだから大丈夫だろう、程度の認識でよかれと思ってるかもしれません。しかし、そのよかれ、と思う大前提の知識が無かったら全てを間違える可能性があるのです。その上、努力が全部無駄!くらいの勢いになる可能性だってあります。

それでは自分自身を教育、成長させ、そして周りの人を教育成長させる大前提の基礎知識とは何でしょうか。

61Kky5Cy8xL日本の教育は20年以上遅れている
本日読んだ本で『専門家として教師を育てる』という本があります。学習院大学文学部教授。東京大学名誉教授。専門は学校教育学。全米教育アカデミー(NAE)会員、日本学術会議第一部(人文社会科学)前部長、日本教育学会前会長の佐藤学さんです。

この人は本の中で日本の教育は20年以上遅れている、と言っています。

専門家として教師を育てるの99〜100ページに

授業研究のパラダイム転換
という事が書かれています。パラダイム転換と言えば、かなりの変化です。それこそ天動説が地動説になった、古典物理学から量子論・相対論に移行したくらいのインパクトがあります。未だにニュートン物理学しか知らない人がいて、その人が自分の事を物理学者だ、と言ってたらありえない、と思うはずです。あるいは、ニュートン物理学しか知らず、相対性理論を知らない人が携帯電話の設計などやっていたら・・GPSがキロメートル単位でずれて使い物になりません。それと同じように、教育に携わったり、人を成長させるなら、このパラダイム転換を知っている必要があります。

shutterstock_354277160パラダイム転換を知らないのは馬車で自動車に勝とうとするようなもの
この本の中に、パラダイム転換の事例として

教育学研究における授業研究のパラダイム転換は、アメリカ教育学会編の『授業研究ハンドブック(第三版)』(1986年)において顕著である。ほぼ10年おきに編集される授業研究ハンドブック』の第二版は、全編が行動科学に基づく研究論文であり、「過程算出モデル(process-product-research)」による定量的分析(数量的研究)による論文でしめられていた。それに対して同書の第三版においては、行動科学の「過程算出モデル」による授業研究の論文は姿を消し、認知科学、学習科学、文化人類学、エスノメソロドジーなど定性的方法(質的研究)の解釈アプローチによる授業研究がほぼ全編を構成している。革命的と言えるパラダイム転換である。
shutterstock_351224735何が革命的なのか、を説明出来る必要がある
革命的と言えるパラダイム転換、と書いてあります。でも、全くもってアレは革命だった!!わかる教育者はどれくらいいるのでしょうか。いや、それどころか、教育の方法論自体が革命的に変更されたならば、親も、上司も、部活のリーダーもありとあらゆる、なにかしら人を教育する立場の人がそれを知っている必要があります。また、自分を啓発し、成長して行こう!と強い意志を持ってる人も知っている必要があります。

これを知らないと言うことは、言ってみれば馬車で自動車に勝とうとするようなモノです。知っている人は早く目的地に付けますが、知らない人はいくら努力しても、最早考え方が古いので絶対に勝てません。こういうパラダイム転換が『人を教育する』『人が学ぶ』というプロセスにおいて起きた、と言う事を知らない人が多すぎるのです。

知らないのに努力すると言う事は、子供の熱を下げるために水風呂に突っ込むようなことですし、売上を上げようとして無駄な努力を繰り返したり、成長しようとして、逆に頭が悪くなることをやってるようなモノなのです。

JungFreud臨床心理学→行動心理学→認知科学の系譜を知る
人の心はどうなっているのか、と言う思索は古くは仏陀の思想に見られます。仏教は心理学、と上座部仏教の長老でもあり、駒澤大学大学院人文科学研究科仏教学専攻博士後期課程で学び、数多くのベストセラーを出しているスマナサーラさんも言っています。

次に有名なのはやはり、フロイトとユングでしょう。この二人が心理学の大家である事は有名です。フロイトの夢分析やユングの箱庭療法、砂遊び療法などの方法として人の心を癒やしたり、良くしたりしようという試みは行われてきました。かくいう私も不登校児時代、箱庭療法、砂遊び療法どちらも子供の頃に経験させられました。全く以て意味が無かったです。

51vDLwEEJaL次に流行ったのが行動心理学 わかりやすいので人気が出た
フロイトやユングから進み、行動主義、行動心理学の分野が発達してきます。行動心理学とは、人間の外面の行動を観察することにより、人間の内面の心理を研究していく学問です。

人間の内面や心の動き、内観法から調査しても科学的に証明できないという理由から、行動を科学的に研究しよう、という学問です。これはわかりやすいのでかなり流行りました。

右上を見るのは理論家で左上を見るのは芸術家
立ったまま考える人は決断力と行動力がある
爪を噛む人には悲観主義者が多い
ウソをついているかは手足を見ると分かる
大きな声で話す人は自信に溢れている
相槌が多い人は裏で会話を操っている
座る時に足を開いている場合は心も開いている
・・・などです。

これらはしてはわかりやすいので流行りました。実際、最近でも行動心理学を学んだ人がノーベル経済学賞を取ったくらいです。でも、これらも含めたものが時代遅れになり、パラダイム転換が起きた!というのが先ほどの佐藤学さんが紹介した文章なのです。

41TlYVq1HJLマーヴィンミンスキーやロジャーシャンクを読もう
なので、あの意味がわかるためには最低限、フロイト、ユングを古典として読み、日本では有名なV.E.フランクルの夜と霧などが臨床面、行動心理学面、いずれから語られているのかがわかった上で、認知科学の基本部分、少なくともマーヴィンミンスキーやロジャーシャンクの本を読んでるくらいじゃないとわからないことなのです。

認知科学と今までの心理学の最大の違いは数学的証明をしようとしてるところ
認知科学と今までの心理学の何がそんなに違うのかというと、行き当たりばったりではなく、暗黙知に頼るのでもなく、数学的証明をしようとしている、ということです。1+1=2はどこでも1+1=2です。ユークリッド原論や各種数学の定理、公理は全てどこでも通用するという前提です。

これが心理学に当てはまると言う事は、こうやれば必ず上手く行く学習方法、かならずトラウマが消える手法、必ず成績が上がる勉強方法、がわかる、と言う事です。今までの心理学は普遍的なモノではなく、場当たり的なモノでした。フロイトやユングは実際に多くお人を臨床で救ったと思います。しかし、それはフロイトやユングだから出来たことであって他の人には真似ができません。フロイトやユングなら出来るけど、他の人には無理、というのはあまりにも学問として成立しづらいです。

あの先生が教えると何故、成績が上がるのか、と言う事を説明出来ないのが古いパラダイムです。ビジネスでもあの営業マンは成績が上がるが、こっちは売上が上がらない営業マンだ。似たような教育をしたのに何故だ?わからない・・・それがなくなる、なくなろうとしているのですからこれはすごいことです。

自ら学び、成長して行きたい人は古い教育パラダイムから抜けだそう
アニメゲーム漫画のクリエイターでも、美術の先生でも、趣味でイラストを描いている人も、多くの人を教育し導く立場の人も、意外とこのパラダイムが変わったことを知りません。しかし、気づいている人はいるのです。それに気づき、成長して行きたい人はまず、せめて『自分の受けてきた学習方法、教育方法は古かったのかもしれない』と考えてみることです。それ自体が一つの思索になり、あなたを成長させるでしょう。

bookその思索の手助けとなる本を紹介しておきます。写真の本です。

これらの本の他にもフロイトやユングを読むといいでしょう。

面倒くさい!大変だ!
だからこそいいじゃないですか。最初に量子論を学んだ人達は古い古典的物理学の世界から抜け出すのが大変だったと思います。しかし、そこから抜け出したからこそ、20世紀を独走し、21世紀にまで繋がるものを生み出せたのです。みんなと同じものをやっていても同じ事になるだけです。どうせなら22世紀に通じる何かを生み出すために、たまにはアニメゲーム漫画以外にこんな本を読んでみるのもいかがですか。こういう本を読む思索から次のガンダム、エヴァ、ドラクエなどを超える作品が生まれると信じて、今日もラクジョブを運営します。

toiawase
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清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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