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2014.12.10 WED - 読書ブログ

『21世紀の資本論』の問題点 苫米地英人著 感想

『21世紀の資本論』の問題点 苫米地英人著と言う本が出た。早速買って読んだけど、私が感じていた『21世紀の資本、これ、そんなにいい本か?』という印象に対して更に手厳しく言ってて非常に面白かった。このフランス経済学者のトマピケティさんが書いた21世紀の資本は最近翻訳もされて紀伊国屋書店でも平積みにされていた。少し前にそれをFacebookと動画で紹介して感想も書いた。
21世紀の資本 トマピケティさん著 資本税と税金洗脳


文章をここでも引用しておこう
21世紀の資本、やっぱり翻訳されたー。Capitalという英語版は持ってたけど、色んな所で話題になってたからなあ。フランスの経済学者トマ・ピケティの著書でAmazon.comでは半年で50万部も売れたらしい。内容は刺激的かつツッコミどころ満載。それ故話題になり、また売れる。今日は日曜日だしゆっくりこれも何回か読もう。さてさて、これは日本では何冊くらい売れるかな。700ページ近い分厚さで5,500円。是非、日本でも50万部くらい売れて欲しいね!そしたら30億円近い売上か!たまには自己啓発とかじゃなくてこういう本ががっつり売れるところを見たいね。お祭りだろうな〜笑
もし、お金持ちになりたい!俺は貧乏人側じゃ無い!富裕層になる人間だ!というゴールを掲げていたり、既に金持ちの人にとっては世界的な資本税という考えは嫌な考えだろうね。苫米地さんの税金洗脳が解ければあなたは必ず成功する!にも書いてある(p124参照)けど、富の再配分に頼るマインドは貧乏マインドだからね。逆に、金持ちになるぞ〜というゴールがあるのに、この本の主張を認める人は別の論理を用意する必要が出てくる。もっとも、この著者自身が世界的な資本税は便利な空想に過ぎない、と言ってる。ただ、著者の空想的ではあるけど、理想的な解決策として考えてるのだろう。
富の再分配に頼ると貧乏マインドになり実際稼げない。稼げないとこの社会の権力側になれず、実際に国を動かすほどの力を持てなくなる。稼ぎたくてたまらないエフィカシーとゴールを持ってる人は権力を持つ側になる可能性が高いけど、富の再分配には興味を持たなくなるし、反対するだろう。稼ぐマインドを持った上で、全体の成長と幸せを考える抽象度を持つことが大事だね。真に抽象度が高い人は稼ぐのも自由に稼げるだろうし、それと同時に稼がない選択肢も同じく選べる。そこまでいけば全体の視点を観た豊かさとは何か?を考えて行動できるんだろうね。 ま、格差反対!と格差万歳!は実際同じ抽象度だしね。お金なんていらない!汚い!とお金が欲しい!大事!も同じ。S極とN極の違い程度に過ぎない。それら全てを包摂して幸せと豊かさを提供する考えとはなんぞやろ。いずれにせよこういうことを考えるのは楽しいと言うことだ。
以上引用終わり。

私の主張は簡単で『金持ち目指してるならこの本は批判した方が良いけど、経済を超えて社会全体の豊かさを考えた場合、別の視点があるから自分なりに考えてみるのは良いよね』です。苫米地英人さんは自著の『『21世紀の資本論』の問題点』で

この本が何でこんなに話題になってるのかわからない
読んだ私の時間を返して欲しい気分
わかりきったことを700ページも書けて読む価値があるのか?

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と言ってるけど、それは非常にわかる。21世紀の資本はとにかく大量のデータを集めて自分の主張の正しさを力説してる。そしてそのせいで本がフランス語版だと1000ページで、日本語版でも700ページにもなった。データを集めまくってだからこそ私の主張は正しいのだ!と言ってる本の有名どころと言えば『ビジョナリーカンパニー』だ。これも有名だよね。そして、ビジョナリーカンパニーとかの本に対して批判をしてるのがスウェーデンの経済学者ローゼンツワイグさんのThe Halo Effectという本。これはベストセラーの経営書とかがいかに思い込みに満ちていて間違ってるか、という事について主張してる本。ビジョナリーカンパニーについても『どれだけデータを集めまくったとしても、元のデータの選び方が悪かったら意味が無い』と言ってる。苫米地さんもピケティに対して『データの集め方について問題がある』と言う事を話してる。

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不完全なデータを集めて、昔はこうだった。だから未来もこうなる。

と言う主張を鵜呑みにしても仕方ない。

昔はこうだった。未来もこうなるかもしれないし、ならないかもしれない。だから一つの主張として受け止めて自分でも考えよう。

と、この本を読んで考えるといいよね。とはいえ、21世紀の資本について書かれている事を信じたい人は多いんだろうな。トマピケティさん自身がそうだろうしね。というわけで

苫米地英人さんの税金洗脳が解けるとあなたは成功する、『21世紀の資本論』の問題点
ジムコリンズのビジョナリーカンパニーシリーズ
フィリッツローゼンツワイグのなぜビジネス書は間違うのか(原題 The Halo Effect)
トマピケティの21世紀の資本

を読んで自分なりに考えると楽しい読書になると思いますよ。苫米地さん自身も行ってるけど、自分で考えるのが大事、だしね。The Halo Effectにも書いてあるけど、人は『しっかり考えて自分で答えを出すよりも、何か一つも真実がある、正解があると思いたがる』という傾向がある。だからこそ、それに流されること無く、理性的に考えたいね。今日も読書!
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清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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