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2014.03.08 SAT - 読書ブログ

怒りの松下幸之助 血族の王を読んで

その社長は石炭ストーブを火箸でバンバン叩きながら怒り狂った。バンバン叩きながら部下を罵倒し続けた。ただ、怒り疲れた社長が部下にもう帰っていいと言った時、社長はちょっとした気遣いを忘れなかった。

社長『おい、お前のせいで火箸が曲がったしまったぞ。これをまっすぐして帰れ』
部下『はい、わかりました』と言ってまっすぐに直す。
社長『おお、お前は上手だな。まっすぐに直すのが上手いな』
部下『はい!』と喜んで嬉しくなってしまう。

こういうシーンに出くわしたらどう思うだろうか?もはやこれは社長と部下の関係と言うよりは教祖と信者の関係。これが経営の神様と言われた松下電器社長松下幸之助とその部下後藤清一(後の三洋電機副社長)のやりとり。

血族の王: 松下幸之助とナショナルの世紀 (新潮文庫) 岩瀬 達哉 (著)を読んだらそんなシーンが書いてあった。火箸が曲がるほど周りを叩きながら怒り狂い、それでも人を魅了することが出来たパワーこそが松下幸之助の成功の要因だろう。その根源的な情熱、と言うか狂った火山のようなエネルギー。それが無い人間が松下幸之助の言葉の上っ面だけマネして経営すると失敗する。松下幸之助に影響を受けて大成功をしている人物と言えば京セラの稲盛和夫だろうけど、彼もやっぱりとてつもないエネルギーを持っている。出家して優しい言葉を言ってのだけ真に受けたら大失敗する。

松下幸之助、稲盛和夫の本はベストセラー入りしているけど真の意味で松下幸之助、稲盛和夫の本を読んだ!と言えるのは何人いるのだろうか。どんな言葉、文字も、その言葉の元となった想い、情熱、夢、思想、哲学を100%表現することは出来ない。どんなに読書をしても、文字だけを読むだけなら作者の言いたいことは何も理解できない。読んで、読んで、読みまくり、行間の裏まで読み、作者がどう考えたか、そこまで考え抜いて、作者の視点で世の中が見えた時に初めてその本を読んだ、といえるだろう。

経営者の本を盲信することはあまりオススメしないけど、学者だろうが哲学者だろうが、思想家だろうが、表面だけを読むことは意味ないよね。

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清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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