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2018.05.15 TUE - 読書ブログ

苫米地英人さんの金持ち脳 感想検証 本当に10年以上打ち込まないとプロとして稼げないのか?年収は上がらないのか?その答えは抽象度にある。

1 仕事を簡単に変えれば変えるほど年収って下がるよ、1つの職業を10年以上打ち込み続ける人がプロとしてお金をもらうのに相応しい人だよ、という事が苫米地英人さんの金持ち脳に書いてるけど見落としていた人が多い、という事をブログに書きました。今日は別方向からその話を書きたいと思います。

苫米地英人さんの金持ち脳 苫米地さんに言わせれば金持ちになりたかったら石の上にも3年どころか10年!?ドヒャー!
苫米地英人さんの金持ち脳 苫米地さんに言わせれば金持ちになりたかったら石の上にも3年どころか10年!?ドヒャー!


苫米地英人さんの本で多くの人が見落としていたというのが下記の文章。
そのように、金を払うにふさわしいプロとなるためには、得意分野の技術に磨きをかける必要がある。あるいは、まったくのゼロから始めるのであれば、最低でも10年は続ける覚悟が必要だ。

近年では、3年ほどで仕事を辞める若者も多いようだが、ほんの3年では何も磨かれない。たとえ3年で何かをひととおりこなせるようになったとしても、そもそも3年で習得できるようなことに、わざわざ金を払う人は少ないだろう。それを天職として金を稼ぐことなどできないのである。
と言う部分です。しかし!これを鵜呑みにしてしまっては読書家ではありません。とりあえず仮説検証反証を本気でやる必要があります。なんとなく、ではだめです。ちゃんとデータを調べてきて本当にそうなのか?と考える必要があります。

確かに私は自分のブログに

苫米地さんが言うことは何も珍しい事ではない。そもそも日本では転職すればするほど年収が下がりやすい。日本一の求人会社であるリクルートの研究結果によると転職で年収が上がる人は全体の22.7%程度。
「賃金ダウンありきの転職」を乗り越えるというリクルートの記事に下記の文章がある。

転職によって賃金が増えたという人は、日本では22.7%にとどまり、G7とBRICsなどをあわせた13カ国平均の56.6%を大きく下回る。多くの国において賃金が上昇する人が半数を超えているので、世界的には転職によって賃金が上がるが、日本では賃金が上がらないといえる。日本では、転職によっても賃金が変わらない人が61.9%と多くを占め、ほかの国と比べても多いのが特徴だ。
リクルートワークス研究所より引用
http://www.works-i.com/column/policy/1712_02/
と書きました。日本の構造的に1つの会社で経験を積む方が年収が上がりやすい構造になっています。その証拠に、日本では全く転職をしない人が半数以上のマジョリティなのです。ただし、これは男性のデータであって女性は結婚などのライフイベントによる退職があるので事情が違います。

職業生涯を通じたキャリア形成、という厚生労働省の資料によると
総務省統計局「平成 24年就業構造基本調査」の調査票情報を独自集計し、1歳ごとに初職からの離転職状況を示したのが第3-(1)-1図である。これをみると、男性では、30歳までにほとんどの者が初職に就いており、30歳台から 50歳台半ばまでは、約半数が初職から離職することなく就業を継続している。また、初職から1回目の転職先で就業している者の比率も 30歳台から 50歳台半ばまで、1割5分程度で安定している。

ここでいう初職とは、通学のかたわらにしたアルバイトなどを除いて、最初に就いた仕事のことである。

このような分布が恒常的なものだとすると、男性の6割以上については、多くの企業の定年年齢である60歳頃までのいわば第1の職業生涯における転職回数は多くても1回で、さらに、半数程度の者は初職から一度も離職することなく、第1の職業生涯を一つの就業先で過ごしていることになる。すなわち、一つの職場で長期間勤務するような長期雇用キャリアが、我が国の男性の職業キャリアとして多くみられる。
引用元 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/14/dl/14-1-3_01.pdf
とあります。つまり、一般的な男性は男性の6割ほどが定年前までは同じ会社で働き続けるのです。なぜ、定年で転職回数が増えるかというと定年したけど働きたい、されど定年退職した会社で雇用され続ける事がない、あるいはされたとしても条件が悪い、折り合わないから別の会社に転職する、という事情があるのでしょう。

いずれにせよ転職を繰り返す人と言うのは少数派なのです。日本では中学校時代から勉強し、いい高校に入り、良い大学に行き、大企業に行ってそこで働き続けるのが一番の労働者としての勝ち組なのです。実際、大企業勤務の生涯賃金と高卒中小企業の生涯賃金は2倍も違います。前者が約3.8億円であれば後者は2億円程度です。しかもこれは退職金を含んだ金額なので転職を繰り返せばその退職金は減るので大きく差がつくでしょう。更にフリーターの生涯賃金は平均すると1億程度と推察されるので対して更に格差は開きます。(勝ち組と言っても所詮は年収の話だけなので他の部分では違うかもしれませんが、今回の話は年収と転職の話なのでこういう風に表現しました。)

調べれば調べるほど苫米地英人さんの言葉が重みを増してきますね(笑)
金を払うにふさわしいプロとなるためには、得意分野の技術に磨きをかける必要がある。あるいは、まったくのゼロから始めるのであれば、最低でも10年は続ける覚悟が必要だ。
という風に書いてありますが、3年どころか10年も継続しようと思ったらやはり条件のいいところの方が継続しやすい。苫米地さんは新卒で三菱地所に入っていますが、大学は上智大学です。この条件のいい大企業に入ろうと思ったらやっぱり良い大学に入る必要があるのです。22才の時に卒業するとして、12歳の頃から10年以上勉強に打ち込んで良い大学に入った人がよい条件で社会人をスタートできる。理にかなっていますね。

ただ!私の様に不登校児だった人間からすると納得できん!(笑)というのは感情的にわかります。もう少しついてきて下さい。別の支店を出しますからね。

さて、次に
近年では、3年ほどで仕事を辞める若者も多いようだが、ほんの3年では何も磨かれない。たとえ3年で何かをひととおりこなせるようになったとしても、そもそも3年で習得できるようなことに、わざわざ金を払う人は少ないだろう。それを天職として金を稼ぐことなどできないのである。
という風にも書いてあります。辛いからってすぐ辞めてんじゃねーよ!というのは経営者なら誰でも言いたくなる本音です(笑)私もよく言ってます。実際私のその通りだと思います。自分の会社を見ていてもそうですし、求人サイトを運営する人材ビジネスのプロとしても実感として納得できます。

しかし!!!!ついに見つけました清水さん。転職しても年収が上がるパターンです。それは同じく先ほど紹介した厚生労働省の資料の中にヒントがありました。

下記の部分です。
● 名目賃金上昇時に賃金増加を伴う自発的な転職が増加
労働者の自発的な労働移動が増えるためにはどのような条件が必要なのであろうか。転職を希望する理由では「収入が少ない」が「時間的・肉体的に負担が大きい」と並んで多く、賃金水準は労働者が転職を選択する上で、重要な要素となっている。

賃金変動区分別に転職入職率の推移と労働者の名目賃金の増減率の推移を併せてみると、トレンドとして賃金が 30%以上減少する転職が増加している一方、名目賃金が上昇している 1988~1992年や 2005~2006年は賃金上昇を伴う転職が増加し、これに伴い全体の転職も増加している。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/14/dl/14-1-3_01.pdf
と言う部分です。これ、簡単に説明すると

好景気の時は転職が増えて、全体の景気がよく、年収が上がりやすい。ただし、そういう時は転職が活性化する分ミスマッチも増えるので年収が下がるパターンも増える。

という事です。つまり、個人の努力よりも全体の環境を見ろ、という事です。例えば今は有効求人倍率も高くて賃金アップが望みやすい環境でしょう。こういう環境を利用するのです。

更にこの環境を利用して更に年収アップさせたかったらもう一つの手があります。それは

大企業に転職すること

です。大企業とは最低でも従業員1,000人以上、できれば5,000人以上です。こういう会社は明らかに中小企業よりも条件がよくなります。つまり、同じような能力を持っていたとしても大企業に移るだけで条件はよくなるのです。好景気で人手不足の時に、今よりも大きな1,000人以上の大企業に転職することが転職で年収を上げるポイントでしょう。








さて、ここまで読んで何か違和感を感じませんか?

そう!個人の要素が少ない!

ということです。日本が好景気になるかどうかなんて個人の努力で出来る事でしょうか?やれるとしたら中央銀行総裁、バーゼルのトップクラスでしょう。中小企業から大企業に転職する、というのも同じです。自分の能力はあまり関係ないのです。

つまり、年収をアップさせたかったら環境や時流を利用しろ、という事です。これは身も蓋もないのですが事実です。逆に同じように年収が下がり続けるのも個人の努力ではどうしようもない部分が非常に強いのです。

お金持ちになるなら構造を理解する。『有名大学卒業、男性、正規雇用、大企業勤務』の条件を満たしている人達が日本の中で構造的にお金を稼ぎやすい人達?!
お金持ちになるなら構造を理解する。『有名大学卒業、男性、正規雇用、大企業勤務』の条件を満たしている人達が日本の中で構造的にお金を稼ぎやすい人達?!


というブログにも書きましたが『有名大学卒業、男性、正規雇用、大企業勤務』を満たしている人達と満たしてない人達の年収は5〜10倍違います。しかし、男性に産まれてきたなんて個人の努力ではありません。東大京大クラスに行ける勉強環境を子供の頃に与えられていたか、なんていうのも個人の努力ではどうしようもない部分です。

年収が上がる要素も、年収が下がる要素も、個人の努力というのは実はそれほど関係ないのです。だからそういう意味では自己啓発、というのはあまり意味が無いのかもしれない。個人の努力ではどうしようもない部分を見抜いて、環境に目を向ける、そこで活躍出来る能力を自己啓発する、というのが大切なのです。

これ、例え話を書くなら

ゴールドマン・サックスのトップトレーダーが年収何十億と稼いでいるとしましょう。では、その人が通貨という概念がない石器時代にいって同じくらい成功するでしょうか?しませんよね。

逆に石器時代に活躍していた力持ちでマンモスを捕るのが上手!と言う人も現代日本に来たら活躍しません。食料なんてスーパーに行けば売ってるからです。マンモス取って勇者だったかもしれませんが、いいからお前はバイトでもしてこい、になるわけです。

これはいささか極端な例ですが個人の能力よりも環境がデカい影響を持つと言うことが分かると思います。

成功する人と言うのは個人の能力が高いのは勿論なのですが、成功する環境で成功する時流を見抜くよう常に考えているのです。環境に目を向けず全て自己責任で自分の能力を高める!なんていうのはあるいみ非常に非効率的なのです。

個人の努力の限界を見つめつつ、自分以外の環境に目を向ける。時代の流れに目を向ける。これがとても大切なことです。そういう意味では自己啓発本ばかり読むよりも烏賀陽さん(原発を追い掛け続けてるジャーナリスト)のnoteに500円払ったほうが充分時流を見るのに役立つでしょう。また、新聞を読んだ方がマシだし、Wall Street Journal読んでる方が役に立つでしょう。
苫米地英人さんの金持ち脳だって復興財源の話や東電の話、国家資本主義の形などかなり高い視点について書かれています。それが1つの答えと言えるでしょう。

私のブログを読んでる人はとにかく自分の人生を何とかしたい!と言う人が多いです。そういう真面目さは大切なのですが、自分の人生を左右する要因は自己の能力だけではないのだよ、という事に気付けばあなたのその真面目さ、努力は報われやすくなるでしょう。

追伸

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今日も読書!

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学で講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。コーチングと読書を通じて色々な可能性をみんなに伝えていきたくてこのチャンネルを運営中。月1,500冊以上の読書をして、それとは別腹で漫画も毎月数百冊読む。趣味はパイプ、葉巻、ドライブ、喫茶店&本屋巡り。

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清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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